お歯黒(鉄漿)
お歯黒は歯を黒くそめる成人の化粧のことで、鉄漿(かね)ともいいます。

壷に入った酢、酒、お茶などに古くぎなどの鉄をひたして酸化させ、できた茶色の液体に五倍子(ふし)の粉をまぜて筆で歯にぬります。五倍子はタンニンを多くふくみます。このタンニン分が鉄漿の酸化鉄と結合して歯に黒い色を定着させます。このタンニンは虫歯の予防効果もあり、現在ではHY材という名称で歯科用のセメントの成分として使われています。

平安時代には貴族の間ですでに慣習化していたといわれ、室町時代に入ると武家階級に広く浸透していました。明治に入ってもお歯黒は根強く残っていましたが、1873年(明治6)に皇后が鉄漿をお止めになり、次第にすたれていきました。

十七がねといい、17歳でつけたところもありますが、嫁入り前後が多かったようです。
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