平安時代の口臭
絵巻物『病草子(やまいのそうし)』(12世紀後半)は、病苦に悩む人々を、滑稽味をまじえつつ的確に描いているため、当時の病気に関する風俗を知るうえで貴重な資料となっています。

その中に
口臭の女というタイトルの絵があり、歯周病に苦しむ女性の姿がおもしろおかしく描かれています。
高貴な身分の女性が歯を磨いているそばで、女官たちがたもとで口を覆って、臭いをふさいでいます。

この絵の枕詞には
「髪や姿は美しいけれども、息の香りがあまりのもくさくて、近づいた男はいつも鼻をふさいで逃げてしまう。そばにいる人も臭くて耐え切れない。」
とあり、男に逃げられてばかりという言葉には苦笑させられます。

平安の昔から、女性は誰だって男性にモテたいもの。でも、
洋服やお化粧にばかり気を取られて、歯とお口のケアをおろそかにしていると、知らないうちにチャンスを逃してしまうということですね。
参考資料 大月書店 「おもしろい歯のはなし60話」
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