ルイ14世と臭い
フランスの有名な王様ルイ14世(1638〜1715)。
「朕は国家なり」ということばで有名ですね。

この王様の侍医であるダカンは「歯が全ての病気の感染の巣である」という奇妙な学説を主張していました。一本でも歯がある限り何かの病気に感染するという説です。

ダカンはなんとルイ14世の歯をすべて抜いてしまいました。
この時代は歯が痛くなったら抜く、悪い歯は抜くという考えはありましたが、ダカンはまだ痛くもない健全な歯まで全部抜いてしまったのです。

今のように麻酔やすぐれた器具もないわけですので、相当痛かったと思われます。ルイ14世はこの痛みに耐えたわけですから大変我慢強い人だったのでしょう。
おかげでルイ14世は歯痛に悩まされることはなくなりましたが、いろいろ困った問題が出てきました。

食べ物を噛むことが出来ないためにただ飲み込むだけでしたので、消化不良をおこし、毎日のように下剤を飲まされました。食べてはトイレに行き、そしてまた食べるという悪循環を繰り返しました。一日に十数回もトイレに行ったといわれています。
トイレに行くのが間に合わなくておもらしをしてしまうこともよくあったようです。
というわけで、ルイ14世は悪臭を振りまきながら歩いていました。

それと悪臭の原因がもうひとつあります。
鼻の横のあたりに上顎洞という空間があるのですが、上の歯を抜いたときに、抜いた穴と上顎洞が通じてしまいました。食べたものが口の中から上顎洞に入り、口と鼻から絶えず悪臭がしていました。

家臣達はいつも香水をつけたハンカチで鼻を押さえながら国王と話をしたということです。
相手は王様ですから、ひとことでも臭いのことをいったらどんなことになるかわかりません。

ベルサイユ宮殿にいた貴婦人たちも、王のそばに近づくことを嫌がったようです。
特にキスされるときはその臭いで気絶するほどだったということです。

ルイ14世
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