食べ物が歯を鍛える
硬いものを食べれば歯が丈夫になるというのは今や常識です。

ナイジェリアの子供達は、虫歯のある子が日本に比べてはるかに少なく、しかも噛む力がとても強いということが1980年から1991年に3回にわたって行われた東京医科歯科大学とナイジェリアの医学部歯科学部の共同調査によって明らかにされました。

その資料によると、当時の日本の子供達は約95%が虫歯を持っていましたが、ナイジェリアでは多くても約15%〜20%だったそうです。

ナイジェリアの子供達の健康な歯の秘訣は、硬いものをよく噛んで食べること。食卓に上がるメニューは、魚の干物や燻製、肉は放し飼いの牛や鶏の硬い肉で、焼くかあるいは煮たものを丸かじりするだけでした。

彼らが50歳までに失う歯は平均1本以下日本人が平均5.8本失っていることから比べるとナイジェリア人が健康で強靱な歯の持ち主であることがよくわかります。

また、チベットでは、生後2〜3ヶ月の子供に肉の丸ゆでしたものをおやつ代わりに与えて、歯ぐきを鍛えているそうです。

おっぱいが欲しくておなかの空いている赤ちゃんは、与えられた肉の塊にむしゃぶりついて、しきりにジュージューと肉汁を吸い、まだ歯の生えていない歯ぐきで噛みつき、あごを動かして噛む運動を繰り返します。このことは、乳離れができて歯ぐきを鍛え、あごを動かす機能を発達させます。

また、自分の手で食べ物をつかんで飢えを満たすという行為が心理的にも頭脳の発達に良い影響を及ぼし、自立を促すといういいことずくめのものなのです。

このように硬い物をよく噛んで食べることは、虫歯をなくし健康な体を作るだけでなく、顔の形・表情や子供の成長・発達にまで影響を及ぼす重要なことなのです。
昔の人が硬い物を食べて健康な歯を維持していたのに対し、現代人に虫歯が多いのは、やはり食生活が変わったことが原因です。
参考文献:日歯広報 歯ごたえのある話 
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